鴨川地球生活楽校 2月

IMGP3889今回は最終回として1年間パーマカルチャーを学んだ成果をアウトプットするWSだ。僕がお借りしている約30年間耕作されていない荒れた棚田や里山を再生すると仮定し、その土地をパーマカルチャー的な循環の場にデザインする。そこで、設計を依頼する4人の施主を仮定した。4人の施主はそれぞれこの土地でやりたいことがあり、デザイナーはその要望に応えた設計をしなければならない。

1人目の施主は「里山オーガニックカフェ」をここで開業する。予算1000万円

2人目の施主は定年退職後のご夫婦が2世帯で暮す「定年リタイヤハウス」。予算3000万円

3人目の施主は「こどもの自然学校」をつくる。予算300万円

4人目の施主は半農半XをしたいIT会社を経営する社長が建てるこだわりの「エコハウス」。予算5000万円

そして、受講生のみんなに、どの施主の仕事をやりたいか聞いてみた。

一番人気は「こどもの自然学校」、二番目は「里山カフェ」、三番目は「定年リタイヤハウス」、なんと社長の「エコハウス」は希望する人は誰もいなかった。みんな自分の人生に重なるテーマを選んだということだろう。

「里山オーガニックカフェ」の施主はやっちゃん、「定年リタイヤハウス」の施主はみさこさん、「こどもの自然学校」の施主は源ちゃんとなった。

Exif_JPEG_PICTUREそれから現地へ行って土地の観察をした。この1年間でみんなの土地を見る目は断然進化しているだろう。各チームは、水、太陽、光、風、土、植物、地形、アクセス等々、色々な情報を集め、大きな紙に書き込みながら、その土地を歩いてまわった。その後、土間へ戻り、その土地の持つ可能性を最大限に活かすデザインをするためのミーティングが始まった。これが、超楽しい大妄想大会となった。

IMGP3895パーマカルチャーデザインとはその土地に暮す人と生態系の調和を目指す「設計の技術」であり、「調和の文化」と言える。ビル・モリソンの言葉を借りると「自然との合気道」だそうだ。向こうから来るエネルギーとぶつかるのではなく、取り入れて自分の力にするのだ。

そして「問題は解決」となり、元々あるものを活かし、それを少し変化させるだけでより良いものにさせ、そこにあるものを全部活かし、無限の可能性を引き出す。

それは本来、日本の農村にあった当たり前の文化なのだ。

この日本の農村文化に再度、光を当てるために僕はあえてパーマカルチャーという視点を持ち込んだ。西洋の論理的に体系化された手法をこの里山集落に持ってくることで、数千年の歴史に培われて来た日本の農村文化が浮き彫りにされるのだ。そして、経済効率の悪いただの田舎と思われていた中山間地域の農村が国際的にとても価値のある空間であり、地球の財産であることが理解されてくる。

その価値を認識されないと、この素晴らしい空間はいとも簡単に破壊されてしまう。特に千葉の里山は首都圏に近いため、開発が進み、ひどい状況だ。山砂採取(戦後の東京は千葉の山で出来ていると言われている)、乱立するゴルフ場(マネーと石油で維持された命の砂漠)、新興住宅地、産業廃棄物処理場(千葉は産廃銀座と呼ばれている)、ゴミの不法投棄等々、千葉の自然はズタズタなのだ。

しかし、僕の暮らす南房総は交通が発達しなかったため、かろうじてまだ残っている。

だから、この土地を守るためにはここが価値のある素晴らしい空間なのだと、地域住民全体の理解が必要なのだ。ここ南房総は、現代文明最後の砦なのだ。

パーマカルチャーデザインでは、まず土地を良く「観察」すること。

そして、次に「ビジョン」を描く。そのビジョンを実現するために、最初から大きなことを始めるのではなく、目の前のことから始める。これもビルの言葉でいうと「玄関から変える」のだ。そして、一つひとつの要素をつなげ、多数の機能を持たせ、ひとつのものに依存せず常にバックアップを持ち、豊かな空間をデザインする。

次は「ゾーニング」だ。ゾーン0は家。ゾーン1はしょっちゅう使うキッチンガーデン、コンポストステーション、チキントラクター、スパイラルガーデン等。ゾーン2は田んぼ、根菜や穀物等手間のかからない畑等、ゾーン3は果樹園等。ゾーン4は薪や炭焼き、山菜、竹林、杉林、里山空間。ゾーン5は奥山、原生林、野生の空間。

そして「セクタープランニング」といって効率的なエネルギープランニングを考える。太陽、光、風、水、雨、火等々、自然界のエネルギーをいかにして取り入れるか。

忘れてはいけないのが「土地の地形」だ。人間のエゴで地形を壊すことなく、重力に逆らわず、その地形に合わせてデザインする。

これらを考慮して、トータルに場をデザインをする。

Exif_JPEG_PICTURE二日目の午前中にそれぞれのデザインチームから、施主へプレゼンテーションが行われた。ひとつひとつ紹介したいが、とても長くなるのでここでは省略するがそれぞれ素晴らしいプレゼンだった。夢を描くことはとてもワクワクするもので、みんなこのプレゼンを大いに楽しみ、笑い声が絶えないにぎやかな時間だった。

この1年間学んだ経験が盛り込まれ、共通した要素が多くみられたデザインとなったが、それぞれ個性的で、僕自身が住んでみたいと思うほど素敵なデザインだった。

建物は南斜面の高台に自然素材の平屋建ての家、農地は田んぼ、畑、果樹園、池、フードフォレストがあり、歩いてまわると一年中、何か食べものが取れるパラダイスで、家や駐車場はバリアフリーで農地と家もつながりのあるアクセスとなり、エネルギーは太陽光発電、小水力発電、またバイオマス資源を利用したロケットストーブに薪ストーブ、かまどにアースオーブン、薪風呂だ。

水は井戸水、山水、雨水と3箇所で確保、排水は自然浄化して、池や田んぼに流れる。

また、森の中には子供達の遊べるツリーハウスや滑り台、泳げる池などもある。

とにかく夢と遊び心に満ちた素晴らしい循環の場を、みんなデザインした。

午後は修了式を行った。この鴨川地球生活楽校を卒業しても何の資格も得ることは出来ないが、僕は修了証として一人ひとりに詩を送ることにした。一人一人の顔を思い浮かべ、生まれて来た言葉を渡して、僕はハグをした。

出会えた奇跡と同じ時空を共有できた喜びに感謝して。

いや、僕自身がみんなに感謝したいのだ。

止まらない放射能汚染、原発推進と右翼化する政府、TPP参加・・・世界は相変わらず危ういが、みんなと出会えたことによって、今の僕には希望しか見えない。

そしてきっと、みんなにも希望の種が蒔かれただろう。

あとはその種に水をやり、世話をして花を咲かせるのは自分自身だ。

そして放射能に汚染されたこの島に色とりどりの希望の花をたくさん咲かせよう。

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